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周回遅れのトップランナー

■飛び込みセールスの定石

■飛び込みセールスの定石

セールス…特に飛び込みセールスは、不思議に未経験者のほうがうまくいくケースが多いようです。
何故でしょうか?

経験者は、効率よく訪問する。
経験者は、見込み客を早く嗅ぎ分けることができる。
経験者は、商談が巧みである。

アドバンテージは、はるかに経験者のほうにあります。
にも関わらず、未経験者が思わぬ実績を上げ、経験者を驚かすことが多々あります。
何故でしょうか?

モノを(あるいはサービスを)売るための要諦はふたつしかありません。
「買いそうなお客様を探す」
「買いそうにないお客様を買うように仕向ける」
このふたつです。

人には各々能力があり、後者の「買いそうにないお客様を買うように仕向ける」ことが出来るのは、ごく少数の「売る能力」のある人に備わったものです。
備わったというより、経験と直観力で身に付けたモノと言っていいかもしれません。
セールスに携わる人みなが、これを目指す必要は何もないと思います。

身につけるのに、相応の時間をかける方法より、誰もがすぐ出来ることに対して、人より以上の力を注ぐ。自分の現在の能力でコントロールできる範囲のことに、ベストを尽くす。それが飛び込みセールスの定石だと思います。
そこで前者の「買いそうなお客様を探す」ということを考えてみたいと思います。
「探す」ことに集中化するためには、まず絶対量をかせぐことです。
探す母集団の数が少なければ、それだけ果実も少なくなります。

当たり前のことを言っています。
たくさん訪問すれば、犬も歩けば棒に当たる、それらしい見込み客が一定の確率で現われてきます。ある程度の見込み客数を確保できれば、そこから一定の確率で受注客が生れます。

だから最初のうちは、なにがなんでも母集団つくりに励むことです。足を使ってたくさん訪問することです。
未経験者が経験者より、うまくいく理由のひとつはここにあります。
経験者は、ささやかな自分の経験で、訪問をスキップします。
商談できそうなところと、商談できにくいところを予め選別します。予め見極めるという意味では、効率的に見えます。
未経験者は、例えば上司に言われた目標訪問件数を「素直に」こなそうとします。
その行動は、非効率かもしれません。

しかし、結果として、非効率な未経験者の件数かせぎのほうが、経験者の効率的なスキップ訪問に勝つのです。
自分がスキップしたいところは、誰もがスキップしたくなる訪問先です。
すべてにそれがあてはまるわけではありませんが、猫またぎの場所に案外可能性が眠っていることが多いのです。
未経験者は、それらを大きな確率で拾いこむチャンスに恵まれるわけです。

また、経験上スキップする行為は、自分の行動にひとつの癖をつくってしまいます。
飛び込みセールスの場は、良くも悪くも計算外のことが起きやすい場です。
私も経験浅い時は、お客様の反応に良くも悪くも驚かされました。
お~、あなたの来るのを待っていたよ、なんて口に出して言ってくれるお客様は滅多にありませんが、潜在的に待っていたよ、というお客様は必ずあるパーセンテージでいらっしゃるんです。
スキップするのは、いわば狭い了見からの先入観にすぎません。世間様はそんな狭い了見で見透かせるほど浅くはないし、また甘くもありません。
自分の狭い了見で、広い世間を見透かさない、世間様に対する一種の敬虔な思いを込めて取り組むほうがよいと思います。
意識しなければ、いつの間にか身についてくるのが人間の性癖であり、飛び込みセールスの場合は、スキップがその悪い性癖にあたります。それにより、思わぬ計算外のことが生起するチャンス(ピンチももちろんあります)を狭めることになるのです。

誰しも、経験を重ねるにつれ、それなりの癖がついてくる。それは間違いなくそうなります。
しかしどうせ癖をつけるならば、より場数を踏んだ上での良癖を自分のモノにしたら、後が随分楽になります。

強調しますが、とにかく最初は質より量です。
かっこ悪くたって、嫌われたって、とにかく挫けず、やみくもでいい、量をかせぐことです。
訪問件数の自己目標をつくり、それだけは何としても守るという癖。これが良癖です。
自分への約束を守る癖は、必ず果実を伴います。

飛び込みセールスで売れた時ってのは、その嬉しさは格別ですよ。
無から有を生み出すに等しい活動なんです。
自分が動かなかったら何事も起こらなかった。
自分が動いて初めて結果が生れた。
お客様は、他人ではなく、自分を選んでくれた。
ほとんどひとりきりの闘いで、誰もその場を助けてくれる者はいない。そこで結果を勝ちとった。
そんな思いがドッと胸にこみ上げてきます。
結果を出したその日は、もう機嫌よくて機嫌よくて、
スキップ踏み踏みオフィスに帰れます。

飛び込みセールスで初めての結果を出したその日、
それは私にとって、数ある「一番の日」のひとつに挙げられる日です。

《まだ書き足りない。つづきをまた書きます》


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